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  • アスリート納税の前に考えておくべきこと

    結論を先に書くと、アスリートはもっと寄付を個人に呼びかけるべきではないか、というのが私の考えです。
     
     
    ●私にとって日本社会とは

    まず日本社会の制度の話から。政策決定、つまり税金の使い途や法律などの制定においては多くの人が賛同する意見が採用されやすい傾向にあります。独裁制ではなく民主主義である以上当然なのですが、前提として重要です。なお、この場合実際に賛同している人数よりも多くの人が賛同しているようにみえる意見が採用されてしまう可能性があることは注意すべき点でしょう。

    次に価値観の話を。現在の日本社会については、優先して取り組むべき事柄が二点あると思います。弱者の救済と国家存続に関わる人口減対策をするべきであるのが私の考えです。前者は生きていてひどい目に遭いたくないからで、事故に遭って身体が欠損すれば弱者であり事故に遭わなくても歳をとれば体や頭が弱って弱者である以上、そのときになって悲惨な状況にはおかれたくないし、また苦しんでいる人がいればそれを助けてあげたいと思うからです。後者は、人口減により国力が衰えると生活水準が下がる可能性が大きいからです。人口が多いほうが人材が豊富であり、また多様性に繋がるので産業社会では有利に働くこと、また人口減により内需が衰退することが予想されます。

    なぜこのような話をしたかというと後者の価値観については人それぞれであり、上記と違う価値観の人が大勢を占めたり、あるいは実際は多くないにも関わらず大勢を占めているかのように見えていたとすると、この日本社会はそんな(一見)大勢の価値観に基づき税金が配分され法律などが定められる、そんな世の中であることを自覚しておきたいからなのです。その価値観が多くの人を幸せにするものでも、あるいは不幸に陥れるものでも大勢が支持する(ようにみえる)のであれば税金の配分と法律などに、言い換えれば私たちの暮らしに反映される、日本社会とは概ねそんなものだと思っています。
     
     
    ●アスリートと税金のニュースについて

    「青学・原監督の“アスリート納税提言”に金メダリスト続々賛同」(2018年3月15日 週刊ポストセブン)

    ふるさと納税のようにアスリート宛てに税金を納めることについての提案なのですが、似たような話があったことを思い出しました。

    「太田、吉田らが支援の必要性をアピール事業仕分けによる予算縮減の反対声明会見」(2009年12月1日 Sportsnavi)

    自己負担が大変なことについては同情しますが、支援の手段として税金を持ち出すべきか、については一考の余地があると思います。
     
     
    ●アスリートの支援について

    この記事を書く際に見かけた記事を貼っておきます。

    開幕間近!ロンドン五輪 どう支える?”お金がない”選手たち(NHK 週刊ニュース深読み 2012年06月09日放送)
    「遠征費が払えない」悲惨なマイナー競技アスリートたち…2020東京五輪「日本」の活躍を支えるのは「企業」の支援、理解は広まるか(産経WEST 2014年7月6日)
    メダル目標口実に…JOC「選手強化費」要求が“青天井”懸念(日刊ゲンダイDEGITAL 2014年10月23日)
    吉田沙保里は自腹でビジネス 五輪選手の飛行機事情(NEWSポストセブン 2016年8月18日)

    感想はいろいろあると思います。「練習にそんなに費用がかかるのか知らなかった」かもしれないし、「メダルがそんなに必要なのだろうか」「トレーニング費よりもまず選手の負担を軽くするよう配分するべき」かもしれません。ただ、前者の費用がかかりそれが競技によっては不足していることについてはもっと広く周知されて然るべき話だと思いました。
     
     
    ●スポーツはどこまで公共財となりうるか

    国民が税金を支払う価値を見出した対象が公共財だと思います。極端な話、どんなものでもそのようにみんなが支持しているのであれば公共財であり、とどのつまりはそういうことだと思います。

    ところで、スポーツ全般についてですが今どれぐらい人気があるのでしょうか。確かにマスコミでよく取り上げられる以上は比較的人気はありそう、とは言えるのですが、それ故に実際の人気よりもより多くの人が支持している、とみんなが思い込んでいそうなことを危惧しています。スポーツの本当の人気を一歩引いて確かめてみたい感じです。

    私はというとスポーツを見るのもやるのも興味ないほうで、今回の五輪(2018年平昌冬季オリンピック)にしても、ニュースで見る以外は特に番組とか見た覚えがないです。金メダルを取ったといっても、確かにそこに至る道は並大抵のものではないと思う一方で所詮それを成し遂げたのは自分ではないという諦念もあるので、日本人選手のメダルの獲得で一時的にうれしくなるものの、そのメダル獲得が自分にとって本当に必要か、即ちそれ相応の代価を払うかと言われると躊躇します。

    だから、時折みられるメダルの獲得は日本を元気にする、と当然のように語る論調には違和感があります。元気になった人がいても、それが税金の話になるぐらい公共的なものといえるのだろうか、と。私としては千人(できれば一万人)以上アンケートをとって、日本人のメダル獲得によって本当に励みになったか、それは長期にわたるものか、あるいは一過性のものか、ぐらいのデータは欲しいものです。おそらくオリンピック直後と1年以上経過した後では結果が違ってくるはずで、その差も気になるところです。ここで、前回のオリンピック(2016年夏季リオデジャネイロオリンピック)でメダルを取った選手の成果が、どれぐらい自分の励みになったか思い出してみるのもいいと思います。

    今以上にオリンピックのメダルが励みになる、と(実態はともかく)考える人が増えれば支援として使われる税金の額が増えるし、そうでなければ減る、そういうものだと思います。
     
     
    ●税金の使い途について

    先に書いたように、私としては弱者の救済と人口減対策が優先すべき事項だと思うので、スポーツのような「文化」に属する事項は後回しになってしまうのですね。また、人としての幸せは何か、と問われると「衣食住足りて礼節を知る」という諺(ことわざ)に説得力を感じます。まずインフラを整え生活を営む際に必要な物資が不足しないようにして、心の励みのような、無くても生きて行けるけどあったら嬉しくなるような精神的なものはその次、というわけです。もちろん几帳面に何から何までそうすべきというわけではないのですが税金を使うべき大まかな順序としてはそう考えています。

    (メモ:国費の文化庁への支出については、一般会計「その他」の「その他の事項経費」の「5 文化関係費」、(例)平成29年度予算及び財政投融資計画の説明「第2 一般会計(A) 歳出(PDF:504KB)PDF (505KB)」のP50、ならびに文部科学省 平成29年度 各目明細書平成29年度 一般会計歳出予算各目明細書 (PDF:614KB)のP108以降、またスポーツ関連の支出については一般会計「文教及び科学振興費」の「4 教育振興助成費」、(例)「第2 一般会計(A) 歳出(PDF:504KB)PDF (505KB)」のP23、24、26、ならびに平成29年度 一般会計歳出予算各目明細書 (PDF:614KB)のP96-107が参考となるようです。もっとも、これ以外にも関連した予算がある可能性があります。)

    更に今回の件について付け加えるなら、結果として状況の深刻さより知名度の有無が税金が使われる判断材料にならないか、そういう面からも警戒しています。
     
     
    ●寄付金による支援の考察

    メダルの獲得は日本を元気にする、と言う以上はスポーツが好きな人、オリンピックでメダルを取ってほしいと強く願っている人はいるのでしょうから、JOCやアスリートの皆様はまずそのような方々から積極的に支援を受けることを考えるべきだと思います。ここで知名度の高さが生きる、という点もあります。

    まず、支援を受けたい側が、自分の置かれている状況を発信することから始めるべきでしょう。確かに支援が必要なこと、費用が不足していることを述べるのに心苦しく感じることもあるかと思います。また、税金による支援しか受けた経験が無いのであれば、本当に支援してくれる人がいるのか懐疑的になる気持ちもわかります。それでもメダルの獲得に意義を感じられるならそれを実直に表明してもらいたいものです。そして、その費用が本当に必要なのか、何故必要なのかきちんと逐一説明することが重要です。なぜエコノミークラスではなくビジネスクラスに乗るべきなのか、なぜ海外遠征する必要があるのか、そのために費用がいくら必要なのか。詳細に説明して、説得することから始めるべきです。メダルを取るにはそれ相応の費用が必要でそれを誰かが払わなければならないこと、それが常識になるまで10年ぐらいかかるかもしれませんが、とにかくそこからやり始めるしかないのではないでしょうか。そして、それを必要に応じてわかりやすく伝えられるか、例えばサイトのトップに大きく出せるか、そういうことだと思います。

    また、JOCは組織運営にあたって無駄なところに費用をかけてないことを証明する意味で、費用のやり取りや使い途を可能な限りわかりやすく明らかにしていただきたいと思います。業務・財務のページはあるのですが、費用の使い方が効率的か、と言われるとちょっと判断がつかないのではないかと思います。

    ここで、支援する側からすればどの競技の誰がどのような理由でどれぐらい費用が必要なのか、一覧になっているとわかりやすくてありがたいので、そんなサイトを作成するのもいいと思います。なお、JOCにも「JOCオリンピック選手強化寄付プログラム」というページがあるのですが、もっと一般に働きかけてもいいのではないでしょうか。ただ、ボランティアを募集したらただ働きとの批判(Google検索結果)を受けた例もあるので細心の注意をもって臨むべきでしょう。

    次に、支援する側についてです。支援を受ける側と同様に日本の選手がメダルを取ることに意義を感じるのであれば、支援したらそのことを積極的に表明するべきです。これは言い方を一歩間違えると自慢と受け止められかねない面もあるので難しいところですが、支援したことを表明することでそれを見た人の支援と表明の心理的抵抗が下がり、更にそのようにする人が現れるのではないかと思うからです。
     
     
    ●好きなものを堂々と支援し表明する世の中へ

    スポーツが好きな人がスポーツを金銭的に支援してそれを表明し、それをきっかけにして新たな支援と表明が生まれ連鎖する、更に同様に自分の好きなものについても支援と表明がしやすい環境になったほうが、自分の好きなものが助かりやすい、という点ではいい世の中なのではないかと思いますがどうでしょうか。
    また、それによって役人を介することを少しでも抑えられるのであれば、その分税金が必要なところに回ることになるのでよりいい世の中になる、と言えます。
     
     
    ●税金による支援の弊害の可能性

    なお、支援の手段として国家というシステムを使った税金しか考えないのであれば、まず役人を介することでその作業の分の税金がかかります。また、考えすぎかもしれませんが、支援を割り振る役人の発言力が強くなって便益と引き換えにどこぞの団体で世話して欲しい、という可能性も出てくるのではないでしょうか。前者は他の用途に使えた分の税金が失われ、後者はその団体で使えた費用を損するかもしれない、という話です。

    また、税金で支援する回路を生みだすということは、そのシステムの上に乗ってあぐらをかく人を産む可能性がある、ということです。例えば、選手や役員が視察と称して過度に海外に旅行するようになったとしても、その費用は戻ってこない上に実際に制度上それを止めるのは困難なのではないでしょうか。役人を介さず直接支援するのであればそのような動きがあったら支援を打ち切ればいいのだから、その分支援する側の意志が反映しやすい、ともいえます。

    また、税金で支援するようになると、何かと費用がかさむ以上要求が次から次へとくるものだと思います。なので、そうなった場合は税金、つまり他の事業にも使える費用でどこまで支援するべきか、例えば自己負担金を払わなくなるまでにするか、あるいは全ての選手がビジネスクラスに乗れるまでか、できるだけ具体的に考えておくべきだと思いました。

     

    今回はオリンピック特集です。

    久保田利伸のアルバムCD「SHAKE IT PARADISE」には「Olympicは火の車」が収録されています。大江千里はそのまんまですね。PUGSのメンバーはHONEY☆K(北川晴美)、吉田光(デルジベット)、岡野ハジメ(PINK)、KEITH YOKOHAMA、ホッピー神山(PINK)、スティーヴ エトウ(PINK)、古田たかしです。ケラ&シンセサイザーズ「ナイト・サーフ」の6曲目は「夜のスポーツ」です。そして五輪である以上五輪真弓(恋人よ)、は必然です。
    あと、オリンピックの曲というとスターリンのアルバム「JOY」に収録されている「インターナショナル」も忘れ難いものがあり、これを書いている時点でAmazonにも無いのですが今なら駿河屋で入手できるようです(2018年3月20日記)。