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  • 文庫と新書の世界詩集のお値段は?

    この前、悪くない状態のフランス名詩選(岩波文庫)を100円で買った話をしたのですが、そこで気になったことがあります。詩集、それも世界のある国の詩を網羅しようという意図で編纂された書物は、案外安いのではないか、と。

    そこで、少し調べてみることにしました。先の条件に加え、文庫または新書サイズであること、時代によって区切られていないこと(よって唐詩やマザーグースの本などは対象外)、初心者向けのガイドでないこと、「愛の詩」のようなテーマに沿ったものでないことを制限事項としました。アマゾン検索で探しました。

    「アルゼンチン名詩選とかないかな」と思ったのですが、結論からいうとその手の本自体あまりありませんでした。英仏独米中朝ぐらいで、あとは少し条件を緩めてネイティブアメリカン(アメリカ・インディアン)、ジプシー、古代ギリシア、少し恣意的になってしまいましたが、探せたのはこれぐらいです。

    それでは出版社別に説明します。まず岩波文庫から。古豪の実力を見せつけるかのように英仏独米中が揃っています。中国については中国名詩「集」一冊にまとまっているのですが、なにしろ「唐詩選」だけで3冊出しているので物足りない方もいるかもしれません。なので、中国名詩「選」も3冊入れておきました。

    現時点(5月4日)で中古のお値段(送料別)は、以下の通りです。

    イギリス名詩選 1円
    フランス名詩選 131円
    ドイツ名詩選 39円
    アメリカ名詩選 128円
    中国名詩集 1000円

    合計 1299円(英仏独米で299円)

    中国名詩選(上) 590円
    中国名詩選(中) 804円
    中国名詩選(下) 1231円

    合計 2625円

    ええと、中国ばかりでなく、もっと他の国の詩にも目を向けたほうがいいと思いました。なお、話題にした以上、唐詩選もご用意しました。

    中古のお値段(送料別)は、同様に5月4日の時点で以下の通りです。

    唐詩選(上) 70円
    唐詩選(中) 1円
    唐詩選(下) 29円

    合計 100円

    あら、こちらは安いのね。ちょっとびっくり。

    英仏独米中は岩波の本を読む(よって他の出版社の英仏独米中の本は除外する)として、他の国はないかと各社の文庫を探したら、講談社学術文庫に朝鮮半島の定型詩「時調(シジョ)」についての本がありました。現時点で未読であり、時調以外の詩はないようですので少し物足りないのですが、他に文庫・新書サイズで朝鮮半島の詩の世界を網羅した本もないですのでここでとりあげます。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    朝鮮の詩ごころ―「時調(シジョ)」の世界 607円

    他に色々探して見つからない中で気を吐いたのが平凡社ライブラリーです。先の条件の本って文庫サイズでは見当たらないです。始めの2冊は民族の詩についてまとめたもの、ギリシア詩文抄については詩「も」載っている、しかも3冊とも時代(詩の製作年代)が限定されているようです(いずれも未読)。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    アメリカ・インディアンの口承詩 1980円
    ジプシー歌集 1210円
    ギリシア詩文抄 219円

    合計 3409円

    うーん、ここまでバラバラだとコメントに困る。

    さて、新書です。2冊しかありませんでした。岩波新書と中公新書。しかも「ギリシアの詩」は出版社のサイトによると古代ギリシアの古典全般の解説書のようです。また、「アメリカ・インディアンの詩」は南山大学のサイトによると、本書を増補改訂・改題したものが思潮社から出版され、さらにそれを平凡社ライブラリーに入れたのが先の「アメリカ・インディアンの口承詩」とのことです。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    ギリシアの詩 995円
    アメリカ・インディアンの詩 235円

    合計 1230円

    となると、予算も考えておすすめするのが以下のセットとなります。

    イギリス名詩選 1円
    フランス名詩選 131円
    ドイツ名詩選 39円
    アメリカ名詩選 128円

    ここまで299円です。これに、以下の5冊を組み合わせる感じでしょうか。

    中国名詩集 1000円
    朝鮮の詩ごころ―「時調(シジョ)」の世界 607円
    ギリシアの詩 995円
    アメリカ・インディアンの口承詩 1980円
    ジプシー歌集 1210円

    お手軽に手に入れられて深く味わえるのが詩の魅力です。これも何かの縁だと思っていただければ幸いです。
     
     
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    今回はこの曲です。


    詩的かな?
     

     

    そしてまた詩の本を!


  • フランス名詩選(岩波文庫)感想とメモ、魂の音楽!

    古本屋でこの本を見つけたときはショックでした。お値段100円だなんて。本の状態は確かに新品とはいえないのですが、目立った汚れもなく普通に読めるのに。さらに言うならこの本は約380ページあって本の厚さはおよそ15mm、岩波文庫にしては厚いほうです。売れなければ古本の値段は安くなるものですが、これはさすがにちょっと……と思い、飛びつくように購入しました。

     
    バラード(Ballade)、ロンドー(Rondeau)、ソネット(Sonnets)。いずれも詩の形式で、名前はきいたことがあるのですが実物を目にしてこういうものだ、と感じると印象が変わってくる、というか印象が充実してくるものです。洋の東西を問わず美を追求する心があり、それが詩、定型詩を生み出したことをしみじみと感じました。

    この本はフランス語の原文とそれを日本語に訳した文が載っています。私はフランス語が読めないので日本語訳だけ読んだのですが、原文を読める人の半分以下しかその良さがわからないのだろうなあ、と思いました。そこは控え目に捉えておきます。

    そこで少し考えたこと。この詩集(安藤元雄、渋沢孝輔、入沢康夫編)のみならず他の翻訳された本にも言えることですが、作者が違えば文体、文章の感触も違ってきます。それを翻訳者はどのぐらい考慮して書き分けできるのか、あるいは、翻訳者も創作者の一人であり作者独特の雰囲気を味わいたければ元の言語を習得するべき、と割り切ったほうがいいのか。作品に触れる都度、程度を考慮して両者の考え方を使い分けるべきなのだろうなあ、と思いました。

    余談ですが、巻末に各詩の作者(全60人)が紹介されているのですが、カトリックに回心した人が目立ちました。5人。

    それとこの本、初版が1998年なのですね。今から20年以上前の本なのですが、40代後半の私にとっては数値の上では20年以上前でも「つい最近」という感覚がします。もっと昔からあるような雰囲気なのですが、自分が大学生の頃にはまだ存在していなかったことに違和感があるとともにちょっと「へぇー…………」といった思いがしました。

    タイトルの「魂の音楽」は安藤元雄による解説に出てきた言葉です。その解説で本書について述べた「ここから、覗く窓は小さくとも、一つの詩的世界の総体をうかがうことが可能となればありがたい。」という言葉が心にしみます。
     
     
    以下は自分用のメモです。私がいいな、と感じた作品を書いておきます。

    P 57 16 私の部屋 マルスリーヌ・デボルド-ヴァルモール
    P 67 18 牧人の家(抄) アルフレッド・ド・ヴィニー
    P 83 22 眠るボアズ ヴィクトル・ユゴー
    P111 30 泉 テオフィル・ゴーチェ
    P151 42 [純潔に、生気あるれ、美しい今日は] ステファヌ・マラルメ
    P155 43 燻製にしん シャルル・クロ
    P163 46 [街に雨が降るように]街に静かに雨が降る(アルチュール・ランボー) ポール・ヴェルレーヌ
    P171 49 ひき蛙 トリスタン・コルビエール
    P189 53 曙 アルチュール・ランボー
    P193 54 髪の毛 ルミ・ド・グールモン
    P197 55 ニースのノートルダム寺院のオルガン弾きの嘆きぶし ジュール・ラフォルグ
    P209 57 ひばり サン-ポル・ルー
    P223 60 [雪がふりそう…] フランシス・ジャム
    P227 61 消えうせた葡萄酒 ポール・ヴァレリー
    P229 62 足音 ポール・ヴァレリー
    P239 64 フランスのバラード(抄) ポール・フォール
    P275 75 踊り子 ジャン・コクトー
    P327 90 樹 ジュール・シュペルヴィエル
    P335 93 眠りの神のノート(抄) (眠りの神=イプノス) ルネ・シャープ
    P345 96 鳥の肖像を描くために ジャック・プレヴェール
    P351 97 Paris at night ジャック・プレヴェール
    P355 99 空席 ジャン・タルデュー

    再読したら、いくつか加わるかも。
     
     
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    今回はこの曲です。ピアノバージョン。


    タイトルはフランス語。三好達治の詩に曲をつけてみました。
     

     

    フランス関係の本を少し集めてみました。