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  • NHKの外国人材受け入れ拡大の報道に関して2

    昨日、4月14日も一昨日に引き続きNHKのニュース7で外国人受入れについての放送がありました。特集のようですね。録画しなかったことを少し悔やんでます。そして、こう書いても明日また録画をし損ねる気がします。webのこの記事、新たな制度で在留資格取得の初試験 宿泊業分野に761人と同等の内容です。

    今回は軽い指摘を中心に書いておきます。先のweb記事中に以下のように書かれています。

    「しかし、この資格では担当できる業務がフロント業務や通訳など一部に限られ、ベッドメークや調理など日本人の従業員と同じような働き方は認められていませんでした。

    日本で学んでいる留学生はアルバイトとして働くことは可能でしたが、学業を優先するため労働時間は週に28時間までとされています。」

    上記のように外国人の労働を制限することで、日本人の雇用が守られているといえます。記事中には「人手不足の解消につながる」とも書かれていますが、そもそもホテルや旅館の就労条件はどのようなものなのか、今時の言葉でいうならハードルが高くなっていないか、まず検証することが先でしょう。そこに勤務することによって、従業員にとって家庭を築いて子育てできるだけの余裕が見込めるか。この手のニュースに接するときには、その視点はいつも持っていたいものです。

    また、人手不足の原因は少子高齢化だけではなく職場が過剰に存在するのも一因であり、人手不足なら労働環境が悪いところから淘汰されていきます。働きづらい職場を外国人を入れてまで存続させる筋合いはないのですから。

    そして、人手不足何万人というのもサービスの提供が今のこの価格なら購買されるのはこれだけだからそのためにはこの給料で雇える従業員がこれだけ必要、という話なのでしょう。つまりこの話題には従業員の給料も変数として含まれている、ということです。となると、人件費が上がれば利益を維持するために価格も上がるから購買されるのが減る、よって必要な従業員も減り人手不足は解消に向かう、こういう話の進め方も可能だと思います。

    さて、今日のニュース7のこのニュースを私は見るというより聞いていたのですが、このコーナーの最後のほうでホテルの方が「外国人が働きに来てくれたら(日本人の)従業員にとっても勉強になる」というようなことを言っていた気がします。すいません、記憶で書いてます。で、そのホテル調理(和食・洋食)フロントの求人を見つけました。主だったところを以下に記しておきます。

    ・調理(和食・洋食)

    正社員 フルタイム
    基本給(月額平均)250,000円~350,000円
    賞与 あり 前年度実績 3万円~10万円
    通勤手当 実費支給上限あり月額:10,000円 
    就業時間 1)06:00~21:00
    休憩時間 480分
    時間外 あり 月平均20時間
    週所定労働日数
    休日 他 
    週休 シフト勤務表による(月6日)
    年間休日数 72日
    育児休業取得実績 なし
    利用可能な託児所 なし
    年齢 64歳以下
    必要な免許・資格 普通自動車免許(通勤用)
    必要な経験等 調理経験者(できれば3年以上)
    加入保険 雇用 労災 健康 厚生 
    定年 あり 一律 65歳
    再雇用 あり
    入居可能住宅 単身用あり 
    マイカー通勤 可
    特記事項 3ヶ月の試用期間中は、通勤手当の支給はありません。

    ・フロント

    正社員 フルタイム
    基本給(月額平均)180,000円~250,000円
    賞与 あり 前年度実績 年1回 又は 3万円~10万円
    通勤手当 実費支給上限あり月額:10,000円 
    就業時間 1)07:00~21:00
    休憩時間 420分
    時間外 あり 月平均20時間
    週所定労働日数
    休日 他 
    週休 シフト勤務表による(月6休)
    年間休日数 72日
    育児休業取得実績 なし
    利用可能な託児所 なし
    年齢 64歳以下
    必要な免許・資格 普通自動車免許(通勤用)
    必要な経験等 不問
    加入保険 雇用 労災 健康 厚生 
    定年 あり 一律 65歳
    再雇用 あり
    入居可能住宅 単身用あり 
    マイカー通勤 可
    特記事項 入社日から3ヶ月は日給7000~8000円通勤手当なし

    私はホテル・旅館業界の平均的な就労条件を知らないので判断は皆さまにお任せしたいのですが、ええと、一日の勤務時間が7時間で(休憩時間の長さに注目!)これは9時5時昼休み1時間と同じ、月平均残業時間が20時間、お休み月6日……これは、もっといいところがあればそちらに人が流れてしまう類の職場でしょう。月6日、年間休日数72日は……働く側からすれば、もっと休める日が欲しいところではないでしょうか。

    そして、web記事中には

    「さらに、ことし開かれるラグビーワールドカップ日本大会や、来年の東京オリンピック・パラリンピックなどで日本を訪れる外国人観光客は一段の増加が見込まれ、

    (略)

    政府は、外国人材の受け入れを拡大することで人手不足の緩和につなげたい考えで、宿泊業では今後5年間で最大2万2000人の外国人材の受け入れを見込んでいます。」

    とあります。それなら、スポーツイベントが終わって人が余ったらどうするのかという話が出てくるのですが、これについて触れているのは去年2018年の12月25日の閣議決定案、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針についてのP5、4(4)の「人手不足状況の変化等への対応 ア」の以下の記述でしょうか。

    「ア 分野所管行政機関の長は、分野別運用方針を策定する際に示した人手不足の状況を判断するための客観的な指標及び動向並びに法務省から提供する特定産業分野における在留外国人数等に照らして、当該特定産業分野における人手不足の状況について継続的に把握することとし、当該客観的な指標及び動向の変 化や受入れ見込みとのかい離、当該特定産業分野に係る就業構造や経済情勢の 変化等を踏まえ、人手不足の状況に変化が生じたと認められる場合には、それらの状況を的確に把握・分析し、状況に応じた必要な措置を講じなければならない。」

    なお、去年2018年11月21日の第197回国会・衆議院法務委員会第5号で、山下貴司法務大臣が以下の答弁をしています。

    「そしてまた、継続的な状況の把握と将来の展望により、将来的な生産性向上や国内人材の確保の取組によって受け入れた分野において必要とされる人材が確保されつつあると認めるときには外国人の新規入国の一時的な停止に向けた対応をとるということでございますので、御懸念のようなことにならないようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。」

    ただ、この通りに運用されても今まで入って来た人を外国に返す話にはならないようです。先に上げた「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針について」に従ってどのように運用されるか、気になるところです。

    web記事の最後の研究員の言をきいて思ったのですが、安い労働力だと捉えているから日本人もそういうところを避けるようになったことを雇う側はどれだけ把握しているのか。情報に疎かったらアドバイスできるのは取引している銀行の担当者ぐらいか、と思いました。

    今、この件についてNHKが意見を募集しています(外国人”依存”ニッポン「外国人”依存” ご意見・ご質問募集」)。何か思うことがあるのなら、意見を送ってみてはどうでしょうか。めったにない良い機会だと思います。
     
     
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    今回はパスタをどうぞ。


    曲名は「パスタを讃える歌」です。
     

     

    今回も政治の本を色々と。


  • NHKの外国人材受け入れ拡大の報道に関して

    4月です。入学入社、桜で花見、そして外国人材受け入れの春です。改正された入国管理法が施行される2019年4月1日から、外国人労働者は特定技能制度によって従来より広い範囲で働けるようになりました。

    この話の発端は人手不足です。これは、去年2018年の12月6日に行われた第197回国会・参議院法務委員会第8号での安倍首相の答弁、

    「今回の受入れ制度は、現下の深刻な人手不足に対応するため、現行の専門的、技術的分野における外国人材の受入れ制度を拡充し、一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を真に必要な分野に限って受け入れようとするものでありまして、その導入によって受入れ業種の存続、発展が実現されることになると考えています。」

    に明らかに示されています。

    昨日、4月13日のNHKのニュース7でこの件について放送していました。webのこの記事、外国人材受け入れ拡大 フィリピンで初の特定技能試験と同等の内容です。

    この制度の下で働くことができるのは、上記の答弁にあるようにあくまでも「一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材」がその対象です。そして、試験等によってその質を担保する仕組みになっています。しかし、放送ではその試験の内容について疑義を呈していました。試験内容には初歩的なものもあり、これで質を保てるか不安だということです。先のNHKのweb記事から引用すると、

    「三重県の介護施設などを運営する会社の社長は『現場の人手不足が深刻なので特定技能の制度には期待しているが、このレベルの試験に合格しただけで介護現場の経験の無い人は採用できない』と話しています。」

    とのことです。新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)試験関係「『特定技能』に係る試験の方針について」によると試験問題の作成は特定産業分野を所管する関係行政機関が行うので、この場合試験内容について責任を負うのは根本匠厚生労働大臣になるのでしょうか(介護は厚労省の所轄)。

    さて、放映された試験問題の内容(web記事には他の選択肢が書かれていない)で上記の質を保てるものなのか。私が見たところ、専門性というより一般常識を問われているような気がしたのですが……先の会社社長の発言からして、厚労省、大臣は一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を得られるか、試験問題を厳密に確認しているのでしょうか。それとも、人手不足の会社をとにかく働き手で満たすことを最優先として動いているのでしょうか。私も疑問で不安です。もし試験を通過した外国人労働者が現場で機能しなければ、試験作成に関わった省庁のトップの責任が問われる話です。

    (注:上記には例外があり、技能実習2号修了者は「特定技能1号」の技能試験・日本語能力試験の合格を免除されます。特定技能外国人受入れに関する運用要領のP14、P17より)

    なお、今回の報道では触れていなかったのですが、日本語能力についても書いておきます。特定技能1号については、「特定技能外国人受入れに関する運用要領」のP4によると「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められます。」とのことです。なので、特定技能1号で入ってきた人がこの基準を満たしていないと、こちらは(関係行政機関も関わっていますが)日本語試験実施機関の責任問題になります。

    また、先の技能実習2号から移行した例も、2018年11月28日の第197回国会・参議院本会議第5号で山下貴司法務大臣が、

    「特定技能一号への在留資格の変更に当たり、技能実習二号修了者については、実習職種において技能を修得していることに加え、三年程度日本に滞在して生活を営み、技能実習に必要な日本語能力も備えていることと考えられることから、特定技能一号の試験等を免除し、必要な技能水準及び日本語能力水準を満たしているものと評価し、試験等を免除することとしています。」

    と発言しており、その上での日本語能力試験の免除なのでしょうから同じように政府の責任を問う話といえます。

    特定技能2号(現時点では建設と造船・船用工業の2業種)に関しては、意外にも特に定められていませんでした(特定技能外国人受入れに関する運用要領の特定技能1号に関するP12-24の記述と特定技能2号に関するP24-32の比較)。

    ※特定技能1号、2号に求められる技術水準は以下の通りです。特定技能外国人受入れに関する運用要領のP4、5より

    特定技能1号:相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる。これは,相当期間の実務経験等を要する技能をいい,特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいうとされる。

    特定技能2号:熟練した技能が求められる。これは,長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい,現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって,例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる,又は監督者として業務を統括しつつ,熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいうとされる。

    また、放送では試験の定員が少ないことにも言及していました。定員が少ないので応募ができない、と送り出す側の不満に焦点を当てた内容でした。それを受けて、厚生労働省福祉人材確保対策室の柴田拓己室長は「受験できなかった人のため、試験の回数を増やす予定で、日本の介護現場で働くことを希望する人が1人でも多く受験できるようにしたい。(以下略)」との話をしています。私は当初これを読んで受け入れ人数の上限を増やす話かと思ったのですが、記事中にはその表現は無かったので、あくまでも受け入れ人数はそのままで、受験できる人数を増やす(よって不合格者だけが増える)話なのでしょう。ただ、受け入れる側の要請のみならず、送り出す側の要請によって受け入れ人数の上限が増えることがないか、少し注視したほうが良さそうです。

    この政策について私の思うところを、前にこのテーマで書いた時にも少し書いたのですが、また改めて書きます。今の世の中、人手不足を起因とした市場原理による待遇の変化、人件費の上昇や労働時間の短縮(残業時間の減少)がなければ、働き手が豊かになることが見込めません。そして、働き手に金銭的、時間的な余裕が無ければ子育ては物質、精神の両面で非常に困難になります。子育ての前段階の結婚についても同様で、忙しいときに結婚できてもコミュニケーションの時間が無ければ家庭は破綻して精神的ダメージともに金銭的にもダメージを受ける、年金が本当にもらえるか信じきれないこの現状では苦しい状況に陥る可能性が高い、そう考えても不思議ではないでしょう。そうでなくても、直接会話する時間が少なければ結婚によって幸せになれるとはいえません。

    働き手の待遇が良くなって出生率が上がり2.1になる、もちろんそれ以外の福祉政策等に依ってでもいいのですが、この数値を達成するまでは人手不足が続いてもいいのではないかと思います。会社が倒産してもその業種の需要があるなら他の会社がその市場の分を賄うので問題はないだろうと思うのです。ただ、これはいい話ばかりではありません。待遇がよくなった分、物価やサービスの値段は上がります。働き手としての国民の収入は上がりますが、消費者としての国民の負担は増す話です。私はこれは、今まで子育てとか考えられなかった働き手の待遇を、これからは消費者が支えるために物価が上昇する話だと捉えています。

    しかし、それでも働き手の待遇が良くなって出生率が上がれば国内需要が増えて収入も増える。自国の国民の需要を満たすために自国の国民を雇い、いい環境で働いて家庭を築いて次の世代をバトンを渡す、長期的にはこれでいいと思います。

    今、この件についてNHKが意見を募集しています(外国人”依存”ニッポン「外国人”依存” ご意見・ご質問募集」)。何か思うことがあるのなら、意見を送ってみてはどうでしょうか。めったにない良い機会だと思います。
     
     
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    今回はほのぼのとしたこの曲です。


    曲名は「春の遠足」(1:42)です。
     

     

    とりあえず政治の本を色々と。