フランス語の語形・語順・発音の変化など 私的メモ

訳あってフランス語を軽く学習しているのですが、普通の語形変化以外にも様々な変化が多々あるのでまとめてみました。英語以外のアルファベットを使う外国語文章については英文をweb翻訳したものをチェックして使うのがやっとなので、以下はその際の助けになるような私的備忘録です。主に石野好一著「CD活用 フランス語の入門」(白水社)を元にしていますが、誤って解釈して書いたところとかないかと言われれば正直自信ないです(指摘していただければ助かります)。


 

・エイズィオン(élision)
特定の単語の次が母音で始まる単語の場合は、先の単語の母音が” ‘ “になって次の単語とくっつく現象。以下の組み合わせで生じる。

“[代名詞](je)+[動詞]” → “[j’動詞]”
“[代名詞](me)+[動詞]” → “[m’動詞]”
“[代名詞](te)+[動詞]” → “[t’動詞]”
“[代名詞](le, la)+[動詞]” → “[l’動詞]”
“[代名詞](se)+[動詞]” → “[s’動詞]”

“[否定](ne)+[動詞]” → “[n’動詞]”

“[冠詞](le, la)+[名詞]” → “[l’名詞]”

“[前置詞](de)+[名詞]” → “[d’名詞]”

“[接続詞](que)+[節]” → “[qu’節]”

など
 
 
・アンシェヌマン(enchaînement)
子音で終わる単語の次が母音で始まる単語の場合、先の単語の子音と次の単語の母音を一音にして読むこと。

“[主語](il, elle)+[動詞]”

“[冠詞](une)+[名詞]”

“[形容詞]+[名詞]”

“[前置詞](enterなど)+[名詞]”

などの様々な組み合わせで生じる。
 
 
・リエゾン(liaison)
最後の文字が単独では読まない子音で終わる単語の次が母音で始まる単語の場合、先の単語の読まなかった子音と次の単語の母音を一音にして読むこと。

“[代名詞](ils, elles, nous, vous, les, on)+[動詞]”

“[冠詞](um, des, les)+[名詞]”

“[数詞]+[名詞]”

“[形容詞]+[名詞]”

“[前置詞](dans, en, sans)+[名詞]”

などの様々な組み合わせで生じる。

メモ:「h」について。フランス語では「ph=f」以外のhは発音しないが、単語によっては文頭がhで始まる場合はエイズィオン・アンシェヌマン・リエゾンが発生する場合がある(無音のh [対義語 有音のh])。
(参考:TV5MONDE APPRENDLE LE FRANÇAIS 発音 / フランス語の« h »)
 
 
・部分冠詞と男性単数名詞
“de+le [子音で始まる男性単数名詞]” → “du [子音で始まる男性単数名詞]”
“de le+[母音で始まる男性単数名詞]” → “de [l’母音で始まる男性単数名詞]”

・不定冠詞と前置形容詞と複数名詞
“des [前置形容詞] [複数名詞]” → “de [前置形容詞] [複数名詞]”

メモ:男性第2形を持つ形容詞は前置できる。男性第2形は母音(無音のh含む)で始まる男性単数名詞の前でのみ用いられる。
(参考:東京外国語大学言語モジュール 形容詞の性・数)

・形容詞は不定冠詞・定冠詞とともに用いて名詞のように扱われる。
“[冠詞] [形容詞]” → “(意味的に)[名詞]”

・指示形容詞
“ce [子音で始まる男性単数名詞]”
“cet [母音で始まる男性単数名詞]”

・所有形容詞
(1人称) “ma [子音で始まる女性単数名詞]”
(1人称) “mon [母音で始まる女性単数名詞]”
(2人称) “ta [子音で始まる女性単数名詞]”
(2人称) “ton [母音で始まる女性単数名詞]”
(3人称) “sa [子音で始まる女性単数名詞]”
(3人称) “son [母音で始まる女性単数名詞]”

メモ:前置形容詞 = 品質形容詞の一部・指示形容詞・所有形容詞・基数形容詞
 
 
・全体疑問文、疑問代名詞、疑問副詞、疑問形容詞

代名詞と動詞を倒置して疑問文を作成した際に母音で終わる動詞の次が母音で始まる代名詞の場合は間にtを挟む。疑問代名詞(que, qui)、疑問副詞(quand, où, comment, pourquoi, combien, combien de)を使用した場合や、疑問形容詞(quel)、疑問代名詞(lequel)で目的語を問う場合も同様。

“[代名詞] [動詞]” → “([疑問代名詞、疑問副詞、疑問形容詞]) [動詞]-t-[代名詞]”
(母音で終わる動詞の次が母音で始まる代名詞の場合)
“[代名詞] [動詞]” → “([疑問代名詞、疑問副詞、疑問形容詞]) [動詞]-[代名詞]”
(上記以外の場合)

ただし「Qui est-ce que」、「Qu’est-ce que」、「[疑問副詞] est-ce que」の場合は倒置は起きないので以下のようになる。

“[代名詞] [動詞]” → “Qui est-ce que [代名詞] [動詞]”
“[代名詞] [動詞]” → “Qu’est-ce que [代名詞] [動詞]”
“[代名詞] [動詞]” → “[疑問副詞] est-ce que [代名詞] [動詞]”

名詞主語の場合は、代名詞で名詞主語を受けてから倒置する。

“[名詞主語] [動詞]” → “[名詞主語] [代名詞] [動詞]” → “[名詞主語] [動詞]-(t-)[代名詞]”

疑問詞、疑問副詞の場合で他動詞もしくは疑問副詞「pourquoi」を使う場合は以下のようになる。

“[名詞主語] [動詞]” → “[名詞主語] [代名詞] [動詞]” → “[疑問詞、疑問副詞] [名詞主語] [動詞]-(t-)[代名詞]”

自動詞を使う場合、属詞を問う疑問文の場合は次のようになる。

“[名詞主語] [動詞]” → “[疑問詞、疑問副詞] [動詞] [名詞主語]”

メモ:疑問詞に前置詞がつく場合もある([前置詞] qui、[前置詞] quoi)。「quoi」は「que」の強調形で、「[前置詞] que」とは言わない。

メモ:話し言葉では、文章の一部を疑問詞・疑問副詞に変えたり、疑問詞・疑問副詞を文頭にしても倒置しない場合がある。
 
 
・前置詞と定冠詞(縮約)
“à+le [子音で始まる男性単数名詞]” → “au [子音で始まる男性単数名詞]”
“à+les [複数名詞]” → “aux [複数名詞]”
“de+le [子音で始まる男性単数名詞]” → “du [子音で始まる男性単数名詞]”
“de+les [複数名詞]” → “des [複数名詞]”
(縮約ではない例)
“de le+[母音で始まる男性単数名詞]” → “de [l’母音で始まる男性単数名詞]”

・前置詞と関係詞(縮約)
“à+lequel [先行詞(男性単数)]” → “auquel [先行詞(男性単数)]”
“à+lesquels [先行詞(男性複数)]” → “auxquels [先行詞(男性複数)]”
“à+lesquelles [先行詞(女性複数)]” → “auxquelles [先行詞(女性複数)]”
“de+lequel [先行詞(男性単数)]” → “duquel [先行詞(男性単数)]”
“de+lesquels [先行詞(男性複数)]” → “desquels [先行詞(男性複数)]”
“de+lesquelles [先行詞(女性複数)]” → “desquelles [先行詞(女性複数)]”
(ただし、duquelより関係副詞「dont」のほうが多く用いられる。)

・前置詞と不定冠詞(縮約ではない)
“de des [子音で始まる複数名詞]” → “de [子音で始まる複数名詞]”
“de des [母音で始まる複数名詞]” → “[d’母音で始まる複数名詞]”

・直接目的語人称代名詞(me, te, le, la, nous, vous, les)は動詞の直前におく。

・間接目的語代名詞(me, te, lui, nous, vous, leur)は動詞の直前におく。

・第3文型の否定
肯定文の直接目的語に不定冠詞・部分冠詞がついていて数量を表している場合は、その否定文でのその目的語の冠詞は「de」となる。

“[動詞] [不定冠詞、部分冠詞]{un, une, des, du(de l’), de la(de l’)} [名詞]” → “ne [動詞] pas de [名詞]”

・第4文型の直接目的語人称代名詞・間接目的語人称代名詞の順番

[主語] (ne) (me, te, nous, vous) (le, la, les) (lui, leur) [動詞] (pas)
 
 
・命令形
「tu」に対するer動詞(第1群規則動詞)の命令文をつくるときは、sで終わる語のsが欠落する。

“Tu [動詞(~es)]” → “[動詞(~e)]”
(sがつく場合もある。参考:北鎌フランス語講座 – 文法編 命令文)

命令形では目的語は動詞の後になる(ただし、否定命令形では平叙文と同じまま)。目的語に先に置く「me, te」がある場合は強調語「moi, toi」に変えて目的語人称代名詞の最後に置く。

“[主語] [目的語人称代名詞(me, te以外)] [目的語人称代名詞] [動詞]” → “[動詞]-[目的語人称代名詞(me, te以外)]-[目的語人称代名詞]”
“[主語] (me, te) [目的語人称代名詞] [動詞]” → “[動詞]-[目的語人称代名詞]-(moi, toi)”
 
 
・代名動詞
主語自身にはたらきかける動詞の文章では代名詞は動詞の前にくるが、主語が第3人称の場合、代名詞は「se」に変化する。

“[主語] [動詞] (il, ils, elle, elles, on)” → “[主語] se [動詞]”

目的語の位置は、以下のようになる。

[主語] (ne) (me, te, nous, vous, se) (le, la, les) (lui, leur) [動詞] (pas)

疑問文の場合は、以下のようになる。

“[主語代名詞] se [動詞]” → “Se [動詞]-t-[主語代名詞]”
(母音で終わる動詞の次が母音で始まる3人称の代名詞の場合)
“[主語代名詞] [目的語代名詞] [動詞]” → “[目的語代名詞] [動詞]-[主語代名詞]”
(上記以外の場合)
 
 
メモ:第5文型では目的語と属詞形容詞の性別・数を一致させる。
メモ:que節がとれる動詞ととれない動詞があり、直接目的語をとらない動詞でもque節がとれる場合がある。
 
 
・不定詞
不定詞の目的語が代名詞の場合は、不定詞より先に代名詞を置く。

“[主語] [動詞] [不定詞] [不定詞の目的語代名詞]” → “[主語] [動詞] [不定詞の目的語代名詞] [不定詞]”

メモ:不定詞がとれる動詞ととれない動詞がある。

否定文では主語、属詞ともに不定詞にできるが、肯定文では主語の不定詞はceで受ける必要がある。

[主語不定詞] ne [動詞] pas [属詞不定詞]
[主語不定詞] ce [動詞] [属詞不定詞]

不定詞ではない名詞主語と不定詞の属詞の場合はêtreとともに前置詞「de」を用いる。

[主語(名詞)] être de [属詞(不定詞)]

メモ:第5文型でも目的語が代名詞の場合は目的語は動詞の前にくる。

第5文型の語順は主語、動詞、(直接)目的語、属詞の順だが、「faire」を使った使役構文では以下のようになる。

[主語] faire [属詞(自動詞の不定詞)] [直接目的語(不定詞の主語)]

または

[主語] faire [属詞(他動詞の不定詞)] [前置詞(à, par)] [間接目的語(不定詞の主語)]

この文の間接目的語を代名詞にすると前置詞がなくなり次のようになる。

[主語] [間接目的語人称代名詞] faire [属詞(他動詞の不定詞)]

メモ:これらの不定詞構文はque節では書き換えられない。
 
 
・指示代名詞
形式的にはceに人称代名詞の強調形がついたもの。

“ce lui” → “celui” (男性単数)
“ce elle” → “celle” (女性単数)
“ce eux” → “ceux” (男性複数)
“ce elles” → “celles” (女性複数)

“[指示代名詞] de [名詞]” 「[名詞]のそれ」の意味
“[指示代名詞] qui [動詞]” 「[動詞]する人(物)」の意味
 
 
・副詞的代名詞、中性的代名詞
副詞的代名詞(en, y)、中性的代名詞(le)の語順は以下の通りになる。

[主語] (ne) (me, te, nous, vous, se) (le(1), la, les, le(2)) (lui, leur) (en, y) [動詞] (pas)
le(1) : 直接目的語人称代名詞のle
le(2) : 中性的代名詞のle
 
 
・過去分詞
動詞が主語の人称・数に合わせるのに対して、過去分詞は性別・数に合わせるのに注意。

助動詞がêtreの場合は、複合過去形・前未来形の自動詞の過去分詞ならびに受動態の他動詞の過去分詞を主語の性別・数に合わせる。

複合過去形で助動詞がavoirで直接目的語人称代名詞が過去分詞の前(直前に限らない)に出てきた場合は、過去分詞を直接目的語人称代名詞の性別・数に合わせる。

代名動詞を複合過去形にする場合は、主語ではなく助動詞êtreの前に出た直接目的語seに性別・数を合わせる。

動詞にかかる副詞は動詞の直後につくが、複合過去形の副詞は助動詞の直後につく。

[主語] [動詞] [副詞]
[主語] [助動詞] [副詞] [過去分詞]
 
 
・deの用法
受動文で状態・状況を表すときは、以下のようになる。

[主語] être [過去分詞] de (行為の主体)

直前の行為を示すときは「venir de」を用いる。

[主語] venir de [不定詞]
 
 
・間接話法
時間表現は以下のようになる。

<直接話法> “ce (時間を表す語句)” → <間接話法> “ce (時間を表す語句)-là”
 
 
・現在分詞
現在分詞の複合形の分詞節で助動詞がêtreの現在分詞であり過去分詞の性別・数が意味上主節の主語を反映している場合は、êtreの現在分詞は省略され過去分詞だけになる場合がある。分詞節に主語がつく絶対分詞節の場合も同様にêtreの現在分詞が省略される場合がある。
 
 
・ジェロンディフ
en [現在分詞] でジェロンディフを形成する。
 
 
・強調
目的語を左に移動して強調した場合、その目的語の代名詞は強調されていない部分に残る。
代名詞を左または右に移動して強調した場合は、その代名詞は強調形になる。
複数3人称の名詞を強調する場合、本来は「ce sont」だが「c’est」になることもある。
 
 
・比較級
queを使用した節に対しての比較の場合、虚辞「ne」をつける場合がある。

[主語] [動詞] (plus, moins) [形容詞、副詞] que [主語] [動詞]

メモ:このneは、接続法でも使われることがある。
 
 
・最上級
副詞の最上級には常に定冠詞「le」をつける。

[主語] [動詞] le (plus, moins) [副詞] de ~
 
 
・副詞が文頭の場合

書き言葉では、主語と動詞を倒置する。

[副詞] [動詞]-(t-)[主語代名詞]

話し言葉では「que」を使う。

[副詞] que [主語代名詞] [動詞]
 
 
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今回はこの曲です。フランスを意識してつくりました。


銀幕の午後。よろしくです。
 

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