東京電力が特定技能の外国人労働者を受け入れる件で

題記は朝日新聞デジタルの記事「福島廃炉に外国人労働者 東電「特定技能」受け入れへ」からです。有料会員でなくとも読めるところまでしか目を通していないのですが、それでも気になるところがありまして。

受け入れる企業に関しては、山下貴司法務大臣が去年2018年11月7日の第197回国会・参議院予算委員会第2号で、

「(略)今回の特定技能の受入れというのは、真に必要な分野に限って、我が国が生産性の向上であるとか国内人材の確保の努力を払っても人材の確保が必要な分野について一定の技能を持つ者を受け入れるものということで、(以下略)」

と答弁しています。「生産性の向上であるとか国内人材の確保の努力を払っても」が今回の記事のポイントです。

法務省の「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」法律の第二条の四に「法務大臣は、基本方針にのつとり、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(以下略)」とあり、反映されてないようにみえるのですが「基本方針にのつとり」の文言があります。

基本方針は「閣議決定等」特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針(平成30年12月25日 閣議決定)に「生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において」との表記があるので、間接的な表現ですが受け入れる側は「生産性向上や国内人材の確保のための取組」を行うことが条件であるといえます。なお、「特定技能運用要領・各種様式等」「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」のP1にも同様に記載されています。

ただ、これは閣議決定された基本方針を変更すれば法律も変わることを意味するので、そこは気を付けておいたほうがよさそうです。今回の特定技能制度は、先の基本方針や運用要領の表現を使うなら、あくまでも「深刻化する人手不足に対応するため」のものなのですが、このニュースをみて妄想すると「深刻化する人手不足や、特別な事情により緊急性を要する業務に」のような感じになる可能性もなくはないのかなあと思っております。あるいは、もっとシンプルに「生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において」とか(妄想です)。

それにしても。東京電力は「生産性の向上であるとか国内人材の確保の努力」をどれぐらいしたのでしょうか。先の運用要領のP134の後の別紙の「新たな外国人材受入れ制度」や「『特定技能』に係る在留諸申請に関する提出書類一覧表」を一通り見たのですが、どのように生産性の向上や国内人材の確保の努力を申告したのか、そのような書類が見当たらなかったのですよね。項番33の「中小企業診断士,公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面」は特記事項に「・直近期末において債務超過が ある場合に提出が必要」とあるから違うだろうし……項番45の「雇用の経緯に係る説明書」も「特定技能運用要領・各種様式等」参考様式 第1-16号の記載例を見る限り改善を含んだ会社の説明を記載しているわけではなさそうなので、もしかしたら行政に対する報告義務はないのかと心配してます。どなたかご存知の方がいたら教えていただきたいぐらいで、私の見落としであってほしいものです。

今回の東京電力が特定技能の外国人労働者を受け入れるにあたって、そこに至るまで生産性の向上や国内人材の確保について相応の努力をしたのか、その結果として職場の待遇はどうなったのか、説明していただきたいものです。
 
 
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今回は心配になる(?)曲を。


「黒い波、予兆、明日」です。
 

 

災害に関連した本です。上段左端は「津波災害 増補版-減災社会を築く」、中央は「女性のための防災BOOK」です。

中段左端は「防災 これだけは『知っておきたい』BOOK」です。

下段は非常食です。左端は井村屋のえいようかん(羊羹)です。