タッチタイプが自分には不可能だと思っているあなたへ

タッチタイプ。昔はブラインドタッチという和製英語で呼ばれていたが、頓(とん)と聞かなくなった。カチャチャチャ、チャチャチャチャという音とともに文字が入力されている様は壮観ですらあり、そして、自分には到底成し得ないことだろうと思っていた。今思うと本当に残念だ。何故なら、取り組んでみたら案外短い時間と、何より少ない気力で習得できたからだ。

もちろん、昔見た何かのシーンのようにズダダダダダと打てるわけではない。ある程度できるようになっただけだ。タッチタイプのゲーム、寿司打で3050円いければいいほうだ。(あそこでは「点」ではなく「円」なのだ。)しかし、ある程度できればそれで充分なのだ。

そして、パソコンの類は確か大学の研究室で使い始めたのだが、そのときは忙しくて、更にインターネットなんて普及していなかったので気軽に練習できると思える環境なんてなかったのだ。

しかし、ネットが普及して色々なwebサイトが現れたらそんな環境も生まれてくるわけで、そのときに少しずつでも……そう、タッチタイプは少しずつの練習でも習得できるのだ……やっておけば、それで偉くなれるというわけではないが、かなりの作業が効率化されて考える負担が少なくなり、少ない労力で少し時間が得られるようになる。少しの時間が積もり積もって、なんて言うつもりはない。しかし、キーボードに向かうとき、特に数字の入力だけでなく文章を書こうと思ったとき、書かなければならないときに、文字を入力する作業をを思い浮かべて億劫がるか、あるいは文章を考えることに集中できるか。この差は……
 
 
モモモトモモトです。今回はタッチタイプについて語ります。(青い太字はリンク付きです。)

タッチタイプの最大の障害は、うすうす感じている方もいるかもしれませんが、自分には出来そうにないと思う心だと思っています。せっかく取り組んでみても挫折して、途中で投げ出して嫌な思い出が一つ増えて劣等感にさいなまれる。その気持ちはわかりますが、ただ、それでも、少しだけでも「やればできる」ことを信じて、チャレンジしていただきたいのです。

先に二つだけ、念頭においていていただきたいことがあります。

まず、少ない練習時間でズダダダダダと文字を打ち込めるようになった人は、おそらくいません。もう少し、タッチタイプをゆるやかなものと考えてみましょう。例えば、アルファベット26文字を打ち込むとします。そのとき、1文字打ち込むのに30秒かかってもキーボードを見ないで打てたのなら、それはタッチタイプなのですね。それぐらいのイメージでとらえていいのです。

それにしても、ドラマとかでズダダダダダと達人級のタッチタイプを見るシーンはあれど、そこそこできる程度のタッチタイプを見るシーンはあまりないような気がします。それが、タッチタイプに取り組むのに躊躇する要因の一つになっているのではないかと思います。

そして二つ目は、タッチタイプは指にキーを割り当てるからこそ覚えられる、ということです。このキーはこの指で、なんて色分けされたキーボードの絵を見てめんどくさそうだと思われた方もいると思います。あと人差し指の役割が多い、とか。でも、単にキーの位置を覚えるよりも指とキーを結びつけたほうが覚えられるのです。

タッチタイプをするときは、まず左手の人差し指を「F」のキーに、右手の人差し指を「J」のキーに置きます。このとき、自然に親指以外の指の位置も「F」と「J」のキーにそれぞれ隣り合った位置から順に決まってきます。その結果、人差し指の受け持つキーが左右それぞれ六つ、中指、薬指、小指の受け持つキーがそれぞれ三つとなります。そして、アルファベットやかなをローマ字綴りで入力するときに意識するのは、指を置いたキーか、あるいはそのキーより一つ上か、または下か。人差し指だけそれに「一つ内側の」が加わりますが、それだけなのです。

思い出して書いていきます。私は、タッチタイプはなるほどタイピングというサイトで練習しました。アルファベットを、あるいはかなをローマ字綴りで入力する練習の時に、画面のキーボードが次に打つキーの位置を教えてくれる。一見手元のキーボードで次に打つキーを確認するのと大した違いはないようですが、そうではないのです。

アルファベット順に打っていく場合で説明します。画面のキーボードを見ながらキーを打つ場合は、手さぐりならぬ「指さぐり」をしてキーを打つことになります。「B」のキーは左指人差し指の下のキーの右隣りにあるのだな、とかこのキーはこの指の上だな、とかそんな感じです。そうしていくうちに、次第にキーの配列がわかってきます。「C」から「E」までは一直線だな、「H」から「P」までのキーは全部右手の領域だな、「V」以降は左手の……これは、実際に指を動かしてやってみるとより実感できます。

そのうち、次に打つキーの位置が、結末を知っている話を読むように画面のキーボードを見るよりも先にわかるようになります。ああ、次のキーはこの位置か、と。そして、わかると画面のキーボードの表示がわずらわしくなってきます。わからないキーについてはありがたいガイドなのですが、この心境の変化は面白いな、と思いました。

同時に、先のキーの配列の意識が更に積み重なってきます。いくつかの流れをブロック単位で覚えて、ところどころつっかかって。でも、つっかかる所が次第に少なくなってくればそこに集中して取り組むことができます。一度覚えた流れのブロックは、毎日二、三回でもやっていれば忘れることはありません。流れのブロックをつなぎ合わせる要領で覚えていって、画面のキーボードに頼ることなく一通りアルファベットが打てるようになった……確か、そんな感じだったと思います。

指さぐりであっても手元の、あるいは画面のキーボードをあてにせず一通りキーを打つことができたのなら、どんなに遅い入力であっても、あるいはミスタッチが多少あったとしても、自分がやったのはタッチタイプである、と自覚していいのです。

そこまで来たらあとは練習、慣れの話と言っていいと思います。一日二、三回の練習でも、不思議と昨日よりは早くなっているのがわかるものです。ここまでアルファベットの入力を念頭に語ってきましたが、かなのローマ字入力についても同様に慣れの問題と捉えることができます。五十音を順に入力するのも、もちろん最初はたどたどしいものですが、次第にコツがつかめると自然にリズミカルになってきます。というのも、aiueo、kakikukeko、sasisuseso、tatitutetoと入力していくとk、s、tの子音と組み合わせてa、i、u、e、oの母音を入力するのを繰り返しているのがわかると思います。この場合のかな入力は母音の五つのキーを打つのが半分ぐらいなのですね。つまり、この五つのキーさえ把握していれば、かな入力の半分はマスターしたようなものなのです。理屈に無理があると思われる方もいるかと思いますが、これも実際にやってみて実感したことです。

先に紹介したサイトなるほどタイピングについて。「START」を押すとメニューに項目が沢山でてきますが、私が練習したのは左上の「アルファベット」「数字、記号」「かな 基本五十音順」の三つだけです。それでも一通りできるようになったので、私にとってはそれで充分でした。

1日に練習したのはおよそ30分程度で、それも「何が何でもタッチタイプを習得してやる!」ではなくて「できるようになれればいいかなあ」ぐらいの心持でした。それでもやっていくうちに、日に日に少しずつではあるものの、「できるようになってきている」のがわかるもので、メモ帳にタイムなんか記録したりして、少しずつでもできるようになってくるのが楽しかったです。

さて、アルファベットや五十音を順番にそこそこ早く打てるようになってくると、実用として使えるものにするために色々な単語で腕前を試したくなってくるものです。いつかのズダダダダを目指して。私は先に触れた寿司打で鍛えました。練習の初めに「アルファベット」と「かな 基本五十音順」と、あと確か「数字、記号」も。なるほどタイピングで基本的なことを一通りやって、あとは寿司打。これも最初はたどたどしくて、でも少しずつできるようになって。物事全般にいえることだと思いますが、できるようになるということは、それ自体が楽しいことなのです。そして、寿司打に限らずタイピングソフトはタイピングを楽しくしてくれるものだと思っています。

今回の文章は、昔の自分に宛てて書くことを意識した一面があります。改めて言います。軽い気持ちでいいんです。タッチタイプ、初めてみませんか。

最後に、もう一度今回紹介したサイトのリンクを貼っておきます。今日はクリスマスですね。こんな文章ですが、読んでいただいた皆様にとって良きクリスマスプレゼントにならんことを祈っております。

・私がタッチタイプでお世話になったサイト
なるほどタイピング
寿司打