• タグ別アーカイブ: 岩波文庫
  • アメリカ名詩選(亀井俊介・川本皓嗣・岩波文庫)感想とメモ

    この本を読みながら思ったことから。1993年に刊行された本ですが、さて、日本で同じような本、つまり日本名詩選を作った場合どうなるか。室生犀星あたりから初めて1990年代初頭までの作品を100作集めたとする。もちろんいわゆる現代詩に限り、短歌や俳句は除く。それでも、1人2作以上は載せるべきではないのではないだろうか。1人2作以上載せると、その分掲載できる詩人の人数が減る。詩人の数が100人に満たないほど、我が国の詩人の層は薄いものだったろうか……

     
    というのも、このアメリカ名詩選には100作品が掲載されているものの、詩人の数は50人。アメリカの詩の状況や歴史は知らないが、やはりこれは取り上げるべき詩人の人数が少ないのではないか、と思うのです。ちなみに取り上げられている作品はアン・ブラドストリートのものからです。

    最初のほうが昔の詩で、読み進むにつれて時代が現代に近づいてくる、そして「いいな」と思える詩も増えて来る、そんな感じでした。ただ、詩人の名前はほとんど知らない名前でした。作品も同様で、目にしたものはおそらくなかったはずです。

    備忘録的に、雰囲気とか似ている感じの作品があったのでここにまとめて書いておきます。選者の趣向か、という気も少し過(よぎ)ります。

    P99 リチャード・コーリー エドウィン・アーリントン・ロビンソン
    P119 「消えろ、消えろ…」 ロバート・フロスト
    P167 寡婦の春の嘆き ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ
    P221 ジョン・ホワイトサイドの娘への弔鐘 ジョン・クロウ・ランソム
    P233 バッファロー・ビル E. E. カミングズ
    P325 ブルー坊や ユジーン・フィールド

    以下は自分用のメモです。私がいいな、と感じた作品を書いておきます。

    P51 アナベル・リー エドガー・アラン・ポー
    P77 アメリカの歌声が聞こえる ウォルト・ホイットマン
    P123 雪の夜、森のそばに足をとめて ロバート・フロスト
    P139 雪の男 ウォレス・スティーヴンズ
    P141 アイスクリームの皇帝 ウォレス・スティーヴンズ
    P161 壺の奇談 ウォレス・スティーヴンズ
    P229 時まさに E. E. カミングズ
    P233 バッファロー・ビル E. E. カミングズ
    P253 父さんのワルツ シオドア・レトキー
    P261 ひとつの術 エリザベス・ビショップ
    P263 夢の歌 14 ジョン・ベリマン
    P285 真夜中を過ぎて ルーイス・シンプソン
    P289 雨 ロバート・クリーリー
    P297 若い王子と若い王女 ジョン・アシュベリー
    P301 中年の人々 エイドリエン・リッチ
    P303 十二月の八瀬(やせ) ゲリー・スナイダー
    P307 鞍掛山の雪 ゲリー・スナイダー
    P315 ほんものかしら <インディアンの歌>
    P331 恋に恋して ローレンツ・ハート <ミュージカルの歌詞>

    最後の10作は、アメリカ国歌であるキーの「星ちりばめた旗」(The Star-Spangled Banner、俗に「星条旗」)をはじめとするバラエティーに富んだ作品を集めたもので、なかなか味のある企画でした。
     
     
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    今回は元気が出そうなこの曲です。インストです。


     
    The Theme of Standby with a Movie of Cooking Pasta

    スタンバイのテーマ(パスタ料理動画) ご視聴よろしくです。

     
     
     
    そんな私の好きな本。最初のほうにあるのが現時点での超おすすめブックスです。「明治・父・アメリカ」は星新一の小説です。

    ゾウの時間…は「ゾウの時間 ネズミの時間 ―サイズの生物学」です。

    天才数学者たち(略)は「天才数学者たちが挑んだ最大の難問―フェルマーの最終定理が解けるまで」です。「代替医療解剖」までの18冊が超おすすめです。

    先に紹介した他に、子供(小学校中~高学年程度)のうちにに読ませたい小説を三冊はさんでおきます。もちろん、大人にとっても十分読み応えのあるおすすめの本です。

    現時点で、その次に読んでおきたい本がこちらです。

    意外なことを決めつけるような記述に対して「本当かな?」と立ち止まる心を忘れないのなら(本当は、どんな本を読むにしてもわきまえておきたいことなのですが)、お勧めの本です。

    意外に軽い気分で読める本も紹介します。なかなか面白かったです。

    こちらも軽い気分で読める本です。面白かったです。

    その後の本も気が向いたら是非ご一読を!

    ・神話
    「図説 地図とあらすじでわかる!…」は風土記の本です。誤植には目をつむって欲しい……

    ・歴史
    この一冊で「戦国武将」(略)は「この一冊で『戦国武将』101人がわかる!―――戦国時代を読むものしり辞典」です。

    物語…は「物語 北欧の歴史」です。

    ・文化史・民俗史・宗教史

    ・政治

    ・外交

    ・憲法・法律

    ・人文・思想

    ・社会・経済

    ・自然科学

    ・芸術

    ・文学作品・小説など

    ・よりよい生活のために

    ここから音楽本特集です。ミュージック・マガジン…は「ミュージック・マガジン 11月増刊号 NU SENSATIONS 日本のオルタナティヴ・ロック 1978-1998」です。

    BAND…は吉田豪がバンドブームの時代のミュージシャンにインタビューした本「バンドライフ」です。その向かって右隣りの本も同じようなインタビュー本です。

    ここからは音楽を考えるための本を集めてみました。「創られた『日本の心』神話」は演歌について徹底的に調べ上げ、その実態を検討した本です。

    最後に、読んで面白かった漫画です。ちょっとマイナー志向?


  • ドイツ名詩選(生野幸吉・檜山哲彦編・岩波文庫)感想とメモ

    この本、当初はハズレかと思ってました。最初にキリスト教ではなくギリシア神話を主題としたものが幾つか出てきたときは「おっ」と思ったのですが、大仰(おおぎょう)な語り口がどうも自分の感性とは合わず、この調子まで最後まで続くのだろうかと考えてました。

     
    読み進めていくうちにわかってきたのですが、最初のほうが昔の詩で、次第に後の時代の作品になっていく構成になってます。日本人が知っていそうな名前を挙げると、まずゲーテ、シラーが出てきて、やがてハイネが現れて、ニーチェが一作だけ出てきて、リルケの詩が並び……という感じです。ニーチェについては当初違和感がありました。ニーチェは思想家であって詩人としてはどうなんだろう、と。日本でいうところの折口信夫(釈迢空)のようなものなのだろうか。それが、後の解説を読んでみると「(略)表現であれ思想であれ、近い時代の者たちはいずれニーチェの影響を受けないではいなかった。」(P348)なんて書いてあって、またここでおお、と思ったわけです。ニーチェの詩が本書に載っているのは必然である、と。

    そう、この解説がすごく良かったのです。ドイツにおける詩の歴史なのですが、クロプシュトックやゲーテに始まる本書に掲載されている詩人の作品の評価や意義がきちんと書かれていて、次に読むときはこの解説と照らし合わせて読もうと思っています。本は後ろから読め、あとがきから読めなんて意見をときたま見かけるのですが、本書は正にその言に合った書だといえます(あとがきではなく解説ですが)。

    そして、長かったドイツの詩の古典を抜けた233ページ以降からは「現代詩」の感触が色濃くなり、やっと作品に心になじむようになってきます。詩集として確かにこの本はハズレではなかったと感じられるひととき。もちろん買って良かったといえます。特に良かったのがツェランの「死のフーガ」で、言葉の凄さを感じました。
     
     
    以下は自分用のメモです。私がいいな、と感じた作品を書いておきます。

    P139 シレジアの織工 ハイネ
    P161 もはや相見ることはなく ヘッベル
    P189 わがひそかなる歌 ラスカー=シューラー
    P233 ばらよ、きよらかな矛盾 リルケ
    P235 定義 クラウス
    P273 偉大なるバールの賛歌(抄) ブレヒト
    P285 都会人のための夜の処方箋 ケストナー
    P299 つねに名付けること ボブロフスキー
    P301 死のフーガ ツェラン
    P325 洪水 グラス
    P333 金魚 メッケル

    この詩集も、数年後に再読したら自分の受け取り方も変わっているものなのだろうか……そう考えてます。
     
     
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    今回はこの曲をどうぞ。


    「リボン」 歌は、朱音イナリさんです。
     

     

    ドイツ関係の本を少し集めてみました。思い立ったらすぐ買うが吉(^_^)。

    「アドルフに告ぐ」(手塚治虫)は全巻セットです。


  • イギリス名詩選(平井正穂編・岩波文庫)感想とメモ

    古本屋で300円で購入、定価表示が620円。この程度の値段で一国の代表的な詩が100作収められているのは本当にありがたい限りです。今アマゾンを見たら1012円、何故に!?中古は24円でした。なお、結構力のこもった編者の平井正穂による前書きによるとこの詩集に載っているのはルネッサンス期のスペンサーから現代のブランデンまでで、第二次世界大戦の前後より後のものは別に編まれるべき、とのことで割愛されています。

     
    全体的に以前ブログに書いたフランス名詩選よりも感覚が似ていて読みやすく、心情もわかりやすかったです。漢詩にもよくあるのですが、悠久の自然と比べて自分の人生は何なのか、なんて題材はピンとくる感じでした。

    逆に気持ちに少し待ったがかかったのがキリスト教の信仰を題材にしたものです。縁が遠い概念なので作者の心情を把握するよりも、私としては知識としてとらえる意味合いのほうが強かったです。

    その他、言及したいものなどを。トマス・キャンピオンの「誠実な人間」(P47 9)の最後二行を読んで、鴨長明の方丈記の冒頭を思い出しました。また、アレグザンダー・ポウプの「隠栖の賦」(P133 33)がこの詩と似ているのですが、何らかの関係というか影響というのかがあるのか気になるところです。同じくトマス・キャンピオンの「熟れた桜桃(さくらんぼ)」(P49 10)についてですが、聖書の禁断の実がさくらんぼという話は初耳なので少し驚いてます。ジョン・クレアの「私は生きている」(P207 61)で、今いる世界から次に向かう世界として「海原」の語が出てきたのはケルト人の信仰の名残なのでしょうか。ロバート・ブラウニングの「ピパの唄」(P241 69)は、対句による構成がなんか本当に漢詩みたいで面白いもんだな、と思いました。

    虫の声、鳴き声に触れた詩があったのでメモしておきます。ウィリアム・バトラー・イェイツの「イニスフリーの湖島」(P225)という詩です。また、虫の発する音ということであれば、この詩の「蜂の飛び交う音」とウィリアム・コリンズの「夕べの賦」(P129 38)、サミュエル・ロジャーズの「小さな願い」(P151 45)の三作にみられます。「夕べの賦」では甲虫(かぶとむし)の翅の音に触れていて、「小さな願い」では「蜜蜂の小さな唸り声」とこちらは少々変わった表現を用いてます。
     
     
    以下は自分用のメモです。私がいいな、と感じた作品を書いておきます。

    P 37 5 静かな想いにさそわれて ウィリアム・シェイクスピア
    P 49 10 熟れた桜桃 トマス・キャンピオン
    P 81 22 老齢 エドマンド・ウォラー
    P 91 27 出征に際し、ルーカスタへ リチャード・ラヴレイス
    P117 35 ヘンリーの旅籠屋にて記す ウィリアム・シェンストン
    P121 36 金魚鉢で溺死した愛猫を悼む トマス・グレイ
    P135 39 ポプラの野原 ウィリアム・クーパー
    P153 46 発想の転換をこそ ウィリアム・ワーズワス
    P205 60 ある一つの言葉 パーシ・ビシー・シェリー
    P207 61 私は生きている ジョン・クレア
    P241 69 ピパの唄 ロバート・ブラウニング
    P265 78 ヘラクレイトス ウィリアム・コーリ
    P267 79 真実は偉大なのだ コヴェントリ・パトモア
    P269 80 思い出 ウィリアム・アリンガム
    P271 81 燈台草 ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ
    P281 86 夕闇に鳴く鶫 トマス・ハーディ (※ 鶫=つぐみ)
    P291 88 逝きしわが子 ロバート・ブリジェズ
    P299 90 イニスフリーの湖島 ウィリアム・バトラー・イェイツ
    P317 95 みんなが唄った シーグフリード・サスーン
    P327 98 マリーナ ここはどこだ、どこの国、世界のどのあたりなのか? トマス・スターンズ・エリオット

    再読するならしばらく後で……数年後に読んだ方が自分の心境の変化がわかりそうな気がします。
     
     
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    今回はこの曲です。


    蛍の光はスコットランド民謡。
     

     

    イギリス関係の本を少し集めてみました。


  • 山家鳥虫歌 近世諸国民謡集 浅野建二校注(岩波文庫)感想

    まずショッキングな話から。この本、これを書いている時点(4月23日)で岩波書店に在庫がありませんでした。「品切れ」。こんな残酷なことがあっていいのか、他にも沢山あるのだろうけど、まさかこの本が、という意味では深刻な事態です。重要な位置を占める古典だと思うのですが……

     
    この本のタイトルは「さんかちょうちゅうか」と読むようですが、解説によると「ヤマガ(ノ)トリムシウタ」の方が正しいのかもしれない、とのことです。

    さて、この本を読んだ感想を。ちょっとしんどかったです。というのも、この本を買ったのはタイトルにセンスを感じて惹かれたからなのですが、要は中身をよくわかってなかったのですね。そして本を開いたら、
     
     
    めでためでたの若松様よ 枝も栄える葉も茂る

    来いと誰が云うた笹原越えて 露に小松はみな濡れた

    恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がす

    (反復記号は横書きでは使えないので文字を繰り返しました。)
     
     
    こんな感じの句が続きます。これは一体、何なんだ、と。成立が1772年なので江戸時代の歌である、と。この本にもサブタイトルとして「近世諸国民謡集」と書かれています。となると、この短い句に、どんな節、メロディーがつくのか。その想像力が読み始めた当初は全く見当がつきませんでした。

    およそ半分ぐらい読んだ頃に気づきました。Youtubeで関係ありそうな曲を聴いてみればいいのではないか、と。で、「江戸 歌謡」とか「囃子」とかで検索してみました。うーん、難しい。変拍子?普段聴いている西洋由来のポップスに比べて、何にせよ「周期的に繰り返す」概念が無いからどう……その……ノレばいいのかわからない、どんな感じの曲か聴き終わるまで把握できないので今一つどう付き合えばいいのか見出さない感じでした。

    例えばこの曲はどうでしょう。「梅は咲いたか 江戸歌謡」


    慣れの問題が強いと思うのですが、曲を聴くというより話を聞いている感覚のほうが強かったです。ただし、周期的な繰り返しがない分歌うのは難しいので、歌えれば逆に一芸として注目される気がします。

    ただ、他にも少し聴いてわかりやすいのもありました。神戸節(ごうどぶし)。神戸節という名前は初見でも、どこかで聴いたことがある人もいると思います。


    潮来笠じゃなくて潮来節もあります。神戸節ほどではなくても「梅は咲いたか」よりは曲って感じがします。少し音が大きいのでご注意を。


    最初に動画サイトの活用に気づいていれば、「臼引唄」など気になる単語で検索して音源を聴きながら読むこともできたのですが。また機会があったら試してみようと思います。

    それにしても、小唄、長唄、端唄、地歌、都々逸、詩吟など馴染みがないのですが、初心者向けのCDとか探せばあるのでしょうか。私としては、以下のような感じのを希望します。1.から5.の順で買うことを想定してます。

    1.よく知られている&どこかで聴いたことがあるセット
    2.名前だけはちょくちょく出てくるので押さえておこうセット
    3.もう少し幅広く知っておこうセット
    4.ここまで知っておけば一般的に困ることはないセット
    5.マニアックセット

    あと、この本はそんな江戸時代の歌謡を御国別に分けて収録してます。奥羽から薩摩までで、佐渡、隠岐、淡路、対馬は単独に項目が設けられています。「参河」がわからなかたたので調べたら三河でした。なので、自分の地元はどんな唄が詠まれていたのか、そういう楽しみ方もできます。また、時折唄の後の注解で「下句は理屈に堕して平凡」(P125)のような詩評を差し込んでくることがあるのでちょっとドキッとしました。

    唄の後はその御国の国風を紹介をしているのですが、校注によると備中以外は全て「新『人国記』」(関祖衡、西暦1701年(元禄14年)、江戸須原屋茂兵衛版)を参考にしているようです。そして、国風紹介の後はなぜか怪奇談が記述されています。なぜ掲載されている唄とはほとんど関わりのない、そんな題材を紹介するのか理解に苦しむところです。怪奇談については新井白石の「鬼神論」を結構参考にしているようでした。

    以下、印象深かった事柄を列記します。
     
     
    P60 97 昔思へば恨めしござる なぜに昔は今ないぞ
    P108 175 昔見し夢ふり捨てて 今は昔の夢恋し

    この二首が心にしみる昨今です。
     
     
    P89 「杯中の蛇影」の故事ですが、P290の校注では「不詳。」となっています。「禾廣」の「禾」の誤字を記した直接の参照元がわからなかった、ということなのでしょうか。
     
     
    P101 163 都まさりの浅草上野 花の春風音冴える

    なんか現代風でセンスを感じます。
     
     
    P101 164の注解にある謡曲「隅田川」が気になります。「狂女物の傑作。」とのことです。
     
     
    P134 209 橋の欄干(らんか)に腰を掛け 沖を遥かに眺むれば 沖の鷗(かもめ)が三(み)つ連れて また三つ連れて睦まじく 揺(よ)られながらも君恋し さんしょのせい

    P151 230 鮎は瀬につく鳥は木にとまる 人は情(なさけ)の下に住む

    P164 250 月は東に昴(すばる)は西に いとし殿御は真中(まんなか)に

    この三つの唄もなんとなく気に入ってます。月は東に〇は西に、という言い方は応用が効きそうです。なお、与謝蕪村の「菜の花や 月は東に日は西に」が詠まれたのが西暦1774年(安永3年)とのことです。
     
     
    P178 国風紹介の文末に「蝦夷(かい)の国」という表現あり。
     
     
    P199 310の注解に「涙は車軸雨やさめ」という表現があり(西暦1720年(享保5年)近松門左衛門「井筒業平河内通」)、雨と車軸を結びつけた表現は井伏鱒二の「黒い雨」で見たと思ったのですが、どうやら太宰治の「走れメロス」のようでした。
     
     
    P207 324 舟が着く着く百廿七艘(そう) 様がござるかあの中に
    百廿七=127。127艘なんて発想はどこから出てきたんでしょう。なんかすごい。昔聴いたアマリリスというバンドの「深夜のできごと」という曲の「ネオンに むらがる 虫7000匹」(2:40頃)という歌詞を思い出しました。


     
     
    P209 328 あだけ甚兵衛様蔦山通ひ 蔦の立石星月夜

    「星月夜」という言葉もこの時代既にあったことが感慨深いです。星月夜といえばPINKというバンド(P!NKにあらず)のファーストアルバム「PINK」に収録されている曲、「人体星月夜II」が反射的に思い浮かびます。落ち着いた雰囲気の幻想的な曲です。是非ご一聴を。


     
     
    P221 352 生れ来(きた)りしいにしへ問へば 君と契れと夢に見た

    これまた江戸時代とは思えないほどロマンチックな唄です。
     
     
    P240 378 思ひ乱れて飛ぶ蛍 ゆふべゆふべに身を焦がす

    P241 380 幾夜明石の浦漕ぐ舟も 浮かれこがれて磯へ寄る

    この二つの唄も気に入ってます。

    再読するのはいつの日か。やりたいことが沢山あって本当に悩ましい状況です。
     
     
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    今回はこの曲です。演歌っぽい≒民謡っぽい?


    「いつか会う日には」歌は冷声ゼロさんです。
     

     

    江戸時代の文芸本を中心に集めてみました。

    次の段の左側二つ目は、新井白石「鬼神論」と平田篤胤「新鬼神論」の現代語訳です。


  • 文庫と新書の世界詩集のお値段は?

    この前、悪くない状態のフランス名詩選(岩波文庫)を100円で買った話をしたのですが、そこで気になったことがあります。詩集、それも世界のある国の詩を網羅しようという意図で編纂された書物は、案外安いのではないか、と。

    そこで、少し調べてみることにしました。先の条件に加え、文庫または新書サイズであること、時代によって区切られていないこと(よって唐詩やマザーグースの本などは対象外)、初心者向けのガイドでないこと、「愛の詩」のようなテーマに沿ったものでないことを制限事項としました。アマゾン検索で探しました。

    「アルゼンチン名詩選とかないかな」と思ったのですが、結論からいうとその手の本自体あまりありませんでした。英仏独米中朝ぐらいで、あとは少し条件を緩めてネイティブアメリカン(アメリカ・インディアン)、ジプシー、古代ギリシア、少し恣意的になってしまいましたが、探せたのはこれぐらいです。

    それでは出版社別に説明します。まず岩波文庫から。古豪の実力を見せつけるかのように英仏独米中が揃っています。中国については中国名詩「集」一冊にまとまっているのですが、なにしろ「唐詩選」だけで3冊出しているので物足りない方もいるかもしれません。なので、中国名詩「選」も3冊入れておきました。

    現時点(5月4日)で中古のお値段(送料別)は、以下の通りです。

    イギリス名詩選 1円
    フランス名詩選 131円
    ドイツ名詩選 39円
    アメリカ名詩選 128円
    中国名詩集 1000円

    合計 1299円(英仏独米で299円)

    中国名詩選(上) 590円
    中国名詩選(中) 804円
    中国名詩選(下) 1231円

    合計 2625円

    ええと、中国ばかりでなく、もっと他の国の詩にも目を向けたほうがいいと思いました。なお、話題にした以上、唐詩選もご用意しました。

    中古のお値段(送料別)は、同様に5月4日の時点で以下の通りです。

    唐詩選(上) 70円
    唐詩選(中) 1円
    唐詩選(下) 29円

    合計 100円

    あら、こちらは安いのね。ちょっとびっくり。

    英仏独米中は岩波の本を読む(よって他の出版社の英仏独米中の本は除外する)として、他の国はないかと各社の文庫を探したら、講談社学術文庫に朝鮮半島の定型詩「時調(シジョ)」についての本がありました。現時点で未読であり、時調以外の詩はないようですので少し物足りないのですが、他に文庫・新書サイズで朝鮮半島の詩の世界を網羅した本もないですのでここでとりあげます。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    朝鮮の詩ごころ―「時調(シジョ)」の世界 607円

    他に色々探して見つからない中で気を吐いたのが平凡社ライブラリーです。先の条件の本って文庫サイズでは見当たらないです。始めの2冊は民族の詩についてまとめたもの、ギリシア詩文抄については詩「も」載っている、しかも3冊とも時代(詩の製作年代)が限定されているようです(いずれも未読)。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    アメリカ・インディアンの口承詩 1980円
    ジプシー歌集 1210円
    ギリシア詩文抄 219円

    合計 3409円

    うーん、ここまでバラバラだとコメントに困る。

    さて、新書です。2冊しかありませんでした。岩波新書と中公新書。しかも「ギリシアの詩」は出版社のサイトによると古代ギリシアの古典全般の解説書のようです。また、「アメリカ・インディアンの詩」は南山大学のサイトによると、本書を増補改訂・改題したものが思潮社から出版され、さらにそれを平凡社ライブラリーに入れたのが先の「アメリカ・インディアンの口承詩」とのことです。

    中古のお値段(送料別)は、以下の通りです(5月4日時点)。

    ギリシアの詩 995円
    アメリカ・インディアンの詩 235円

    合計 1230円

    となると、予算も考えておすすめするのが以下のセットとなります。

    イギリス名詩選 1円
    フランス名詩選 131円
    ドイツ名詩選 39円
    アメリカ名詩選 128円

    ここまで299円です。これに、以下の5冊を組み合わせる感じでしょうか。

    中国名詩集 1000円
    朝鮮の詩ごころ―「時調(シジョ)」の世界 607円
    ギリシアの詩 995円
    アメリカ・インディアンの口承詩 1980円
    ジプシー歌集 1210円

    お手軽に手に入れられて深く味わえるのが詩の魅力です。これも何かの縁だと思っていただければ幸いです。
     
     
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    今回はこの曲です。


    詩的かな?
     

     

    そしてまた詩の本を!