人名の世界地図(21世紀研究会編・文春新書)感想

ネットであれこれネタ話を見ていくうちに創作のためのブックガイドの記事を見かけてあの本がいい、この資料がいい、そんな話をきいたことがある人もいるかと思います。この本もそういう使い方ができて、たくさんの人名だけでなくその語源も載っているのでキャラクターづくりの助けになるのではないか、作家とか目指している方には知っておいたほうがいいのではないか、そんな感想を抱きました。

 
本書のおよそ2/3がヨーロッパ・アメリカ・ロシアの人名です。中国・朝鮮半島の人名はそれぞれ章立てされています。また、アジア・アフリカがまとめて一章となっています。ヨーロッパ・アメリカ・ロシアの人名については聖書関連の名前について一章が設けられているのですが、それ以外の章でもキリスト教に関する話題がそこかしこに出て来るので、かの教えの影響の強さを感じずにはいられませんでした。

ちなみに目次(章立て)は以下のようになっています。

第1章 名前にこめられた意味
第2章 聖書がつくった人名の世界地図
第3章 ギリシア・ローマ-失われたものの伝説
第4章 花と宝石に彩られた女性名の反乱
第5章 コナー、ケヴィン-ケルト民族は生きている
第6章 ヴァイキングたちが運んだ名前
第7章 名前でも迫害されたユダヤ民族
第8章 姓氏でわかった中国三千年史
第9章 先祖の名とともに生きる朝鮮半島の人たち
第10章 アジア・アフリカの人名地図
第11章 黒人奴隷に押しつけられた名前
大索引 人名は「意味」の宝庫

最後の「大索引」には、おもな欧米人の名前、ロシア人の名前とともにインド人の名前が、簡単な由来の記述とともに列記されていて見ごたえがあります。

本書で得た知識。「奥様は魔女」の魔女サマンサの旦那はダーリンと呼ばれていたが、あれは愛しい人を意味する「darling」ではなく、固有名詞「Darren」だとのことです(P71)。


 
 
それでは一曲どうぞ(0:15から)。


沢田研二「ダーリング」です。
 

あと、本書のP145に「アイルランド、スコットランドは伝統的にカトリック教徒が多く、ローマ法王に反旗を翻してイギリス国教会(プロテスタント)を成立させたイングランドとは、深い対立の根をもっていた。」という記述があるのですが、「イギリス国教会(プロテスタント)」と言い切っていいものか疑問です。参考までに、以下のリンクを挙げておきます。

ウィキペディア:イングランド国教会
世界の歴史まっぷ:イギリス国教会の成立
日本聖公会横浜教区 浜松聖アンデレ教会:聖公会とは(その1)

名前の由来を語ることは、自然とその土地の歴史やキリスト教をはじめとする宗教、神話を語ることにつながります。もちろんそればかりではなく、地名や命名規則(例 ~の息子を意味する、等)、文学などの作品が元となったものもあり、それらを通して様々な考え方が垣間見えるのが民俗的な意味合いを感じられて良かったです。

それでは、最後にこの曲を!


ゴダイゴ「ビューティフル・ネーム」です!
 

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今回は文春新書の世界地図シリーズと名前・人名本の特集です。

下段中央は「名字と日本人 先祖からのメッセージ」です。